花見
満開の桜の花を見て楽しむ。
桜の木の下で、宴を催す。
2008年 3月27日 東京の桜満開
(気象庁発表)
桜
日本では昔から、花といえば「桜」を指します。
現代でも桜は日本の代表的な花であり、日本の「国花」です。
日本では四季折々に花を愛でる習慣がありました。
梅、桜、桃、ウツギ、ツツジ、シャクナゲなど、
多くは山の花木を対象としていましたが、単に「花見」
と言えば、やはり桜の花を見ることをいいます。
桜はバラ科サクラ属で、野生の桜が約100種類、
園芸種が約300種類あるそうです。白色、淡紅色、
濃紅色、八重咲きのものなど様々な品種があります。
園芸種は、野生の桜をもとにして江戸時代から作られてきました。
代表的な野生種は「山桜・ヤマザクラ」で、奈良県の吉野山は、
「吉野桜・ヨシノザクラ」の名所として知られています。
現在親しまれている「ソメイヨシノ」は、江戸時代末期、
江戸染井(現在の東京都巣鴨周辺)の植木屋が、
野生の「オオシマザクラ」と「エドヒカン」をかけ合わせて
作ったといわれています。
山桜が「吉野桜」と呼ばれていたことから、「ソメイヨシノ」と
名付けられたようです。「ソメイヨシノ」はその華やかさから
人々に好まれ、日本全国に広まりました。今では
「吉野桜とはソメイヨシノのこと」と、誤用されるまでになりました。
3月になると毎年、気象庁から「さくらの開花予想」が発表されます。
これはマスコミや一般の間で、「桜前線」と呼ばれています。
桜の開花の日が等しい地点を結んでいる線が、
(さくらの開花予想の等期日線図)
天気図上の前線に似ているため「桜前線」とたとえています。
観測されるサクラは主にソメイヨシノですが、ソメイヨシノが
生育できない地域では別の品種が標本木に指定されています。
北海道北部は「エゾヤマザクラ」、東部は「チシマザクラ」、
沖縄や南西諸島は「ヒカンザクラ」です。
「さくらの開花予想」は、お花見やイベントの時期の目安に
されています。桜前線は季節の進行につれて、南から北へ、
低地から高地へと順次移行していきます。
ソメイヨシノの開花は、九州と北海道では約1ヶ月半もの
開きがあります。
さくらの「さ」は「稲の霊」、「くら」は神の居る場所をあらわす
「神座」(かみざ)を意味します。
農村では桜を田の神の「依り代」(よりしろ)と考え、
神を迎えて豊作を祈る儀式が行われていました。
桜の木の下で神と共に飲食したり、花を持ち帰って
庭や田の水口(みなくち)に立て豊作を祈願しました。
花見は単なる風流や行楽ではなく、もとは信仰行事だったのです。
万葉集の時代、公家や貴族は桜ではなく梅の花見を
楽しんでいました。
広仁三年(812)、嵯峨天皇が神泉苑で「左近の梅」を
桜に植え替えて、「観桜の宴」を開きました。
これが桜の花見の始まりで、これ以降花見というと
桜を指すようになったといわれています。
その後、古今和歌集には桜がたくさん詠まれ、
武士の間での花見も広まっていきました。
慶長三年(1598)三月、豊臣秀吉が醍醐寺三宝院で
催した豪華な宴、「醍醐の花見」は有名です。
江戸時代には、庶民の間でも花見を楽しむようになり、
花見の名所が生まれ春の行楽として定着しました。
現代でも毎年桜前線の北上に伴い、全国各地で
多くの人が集まり花見の宴が催されています。
花見は、もとは神と人との間で交流交歓の飲食をする
という信仰行事でした。
古来日本人は、植物には精霊が宿っていると考えてきました。
自然に生命力を感じ、自然の霊力を分けていただくというのが
原点でありましょう。
それゆえ花見には、神への畏敬の気持ちがなくてはなりません。
近年、カラオケを持ちこんで騒音を立てたり、桜の木の下で
バーベキューをしたりする花見がまかり通っていますが、
本来の意味とはかけ離れています。
神様は楽しいことがお好きなので、賑やかにするのは良いことです。
しかし電気で増幅した音量のカラオケや、花を汚す煙や臭いを出す
バーベキューは、花見にはふさわしくありません。
これでは精霊から霊力を授かるどころか、精霊の怒りに
触れてしまいます。他の花見客にも迷惑をかけるので、
人々のマイナスの気も受けてしまいます。
昔ながらの、重箱に詰めた手作りのご馳走と生の声による
歌や歓声こそが、神様を喜ばせるのだということを心得ておきましょう。
マナーをわきまえたやり方で神と精霊をもてなし、
霊力と運気をいただくように心がけましょう。
1. さくら さくら
野山も里も 見わたすかぎり
かすみか雲か 朝日ににおう
さくら さくら 花ざかり
2. さくら さくら
やよいの空は 見わたすかぎり
かすみか雲か 匂(にお)いぞ出(い)ずる
いざや いざや 見にゆかん
『うたの本(下)』 明治16年
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